会務報告

第81回 会員サロン

月 日:平成30年2月20日(火)
時 間:11:30〜13:30
場 所:京都ブライトンホテル「麗華の間」
演 題:前例がなければ作ればいい
講 師:声楽家 青野 浩美 氏

内 容
 今回は、気管切開をされたにも関わらず、スピーチカニューレという医療器具を付けて「声」での会話を可能にし、更には美しい「歌声」までを取り戻され、今では全国各地でご活躍の声楽家、青野浩美氏を講師としてお招きしました。ご講演の合間に歌唱を織り交ぜた、トーク&コンサートの構成でした。
 青野氏は声楽家を目指していた23歳で難病を発症し、人工呼吸器装着のために気管切開に踏み切られました。気管切開は命を繋ぐための処置でしたが、同時に声を失うことでもありました。しかし彼女は歌うことを諦めきれず、数々のスピーチカニューレを試して声を取り戻し、やがては歌声を取り戻されました。ご講演では、声のみならず歌を歌うことなど「前例がないから無理だ」とお医者様から告げられた青野氏が、「何もせずに無理と言ってしまうとそれで終わりだからもったいない」と奮起し、歌を取り戻すまで挑戦された日々の自らの体験を語られました。ステージには車椅子で上がられ、音楽教師であった母・青野真弓氏がピアノ伴奏をされました。ドイツやイタリアの名曲をはじめ、日本の杉本竜一氏の曲“BELIEVE”を披露され、「今 未来の扉を開けるとき 悲しみや苦しみがいつの日か喜びに変わるだろう」という歌詞はまさに自分のことのようだと語られる姿は、聴く者の胸を打ちました。
 青野氏の日常生活での移動は車椅子と、自ら運転される自動車とのことですが、夜間は人工呼吸器を使用されています。また声楽家として活動される一方で、現在も現役大学生として言語聴覚士を目指し、勉学に励まれています。障害と向き合い、夢を実現させる行動力や、チャレンジする姿勢など、ご自身の体験を沢山お聞かせいただきました。

スピーチカニューレについて:気管切開をした人が発声をするために気管に入れる管のこと。但し「自発呼吸が出来る」「声帯に疾患がない」など、様々な条件をクリアしなければスピーチカニューレを使い声を出すことは出来ない。また、スピーチカニューレ自体も様々な形状や大きさなどがあるため、自分に合うものでなければ声は出ないと言われている。

【担当:環境・福祉委員会  参加者:39名(ゲスト3名)】