2022年11月
前田
私は、今年の2月末に社長になってから商工会議所の会合に出席するようになったのですが、私共の化学部会というのは本当に男性ばかりのところで、また、私自身も京都に移り住んだのが昨年の始めで、まだこちらに女性の仲間というのがいない状態でのスタートでした。是非この機会にこちらで女性の方とのつながりを持ちたいと、商工会議所の先ほど仰っていた女性会のホームページを見て、こんないいのがあるじゃないかと思いまして、早速入会させていただきました。
会長
今くしくも前田さんから女性会のホームページがきっかけでしたと嬉しい発言がありましたが、私たちの狙った通りに見ていただいて、心を動かしていただけたかなと嬉しく思っております。
ありがとうございます。
大谷
私は昨年の3月まで商工会議所の青年部に所属しておりましたが、青年部の卒業を機に女性会というものがあるとお聞きして、入会させていただきました。青年部は男性が多くて活気がありますが、ちょっと圧倒されるような感じがあったので、女性会はどんな雰囲気だろう、優しい感じなのかなと興味がありました。
黒田
私は、女性会会員の皆さんにお会いしまして、 本当に皆さんキラキラと輝いて素敵な方たちばかりなので、こういう場でご一緒させていただくことで、お店の中だけで仕事をしているとわからない、自分の気付きの場を与えていただけるのではないかと思い入らせていただきました。
会長
実際に入ってみられて、ご自分の思いとマッチしていたか期待通りだったかというのをまた後でお伺いしたいと思います。
大谷
京都市中京区でタイ古式マッサージとバリニーズオイルマッサージのリラクゼーションサロンをしております。タイ古式マッサージというのはタイ王国で伝統的に伝わるマッサージで、元は医療系のものですが、ほぐしとストレッチを組み合わせたようなマッサージでリラックスさせていきます。元々はインドのアーユルヴェーダがルーツと言われていて2500年以上の歴史があるそうです。バリニーズマッサージというのは、インドネシアのバリ島に伝わるオイルマッサージです。オリジナルで組み合わせてやっています。そこが他と違うところかなと思っています。あとは猫が好きで猫は癒しの動物なので猫カフェの雰囲気を出して、動物好きのお客様には喜ばれています。
会長
その施術してもらうところに猫ちゃんも一緒に?そういうのは珍しいですね。
大谷
はい。ご希望の方だけですが人懐っこい猫たちなので、一緒に居ることでダブルの癒しになっています。動物に触れるとオキシトシンという幸せな気分にさせてくれるホルモンが出ると言われています。マッサージ自体もそうですが気持ちが落ち着くので、トータルにみていきたいと思っています。
黒田
本業は装束司という仕事をしておりまして、神社においてあるもの全て、装束とかを調進しています。十二単や神官の装束も制作しておりますので、その過程で出る残った織物を最後まできれいに使いたいと思い、名刺入れなどの小物に限って制作する「堺町御門前平七」というお店を立ち上げて、その代表をしております。
会長
端切れが出ると昔は捨てられていたのですか?
黒田
端切れというのは装束の世界では使えないものなのです。織物を大切に扱っているが故に、お分けしてもどういう形に生まれ変わるかわからないと懸念して、先代も先々代も使わなくなったと聞いています。学芸員の方に資料としてお渡しする以外は処分していたようです。織物は全てのデザインに長寿や健康・平和を祈る気持ちが込められています。その織物が本当に美しくて、袋の中にしまっておくだけでは心もとないと思いまして、格を落とさない形に変えてお部屋に置いたりしていました。一般的にはなかなか手にすることがない美しい織物、美しい日本の伝統のデザインを皆さまの手元にお届けすることが、日本の立派な有職文化を守るきっかけになるのではないかと思い、祖父に許しを請いながら進めました。最初は自分の身の回りに置くだけでしたが、皆さんに共感していただいて、自分の部屋にも飾りたい、自分の手元にも置きたいという方がだんだん増えてきました。作り出したのは20年以上前ですが、皆さんに受け入れていただけるように地道に少しずつ進めました。神社関係からもお許しをいただき、皆さんに徐々にご理解いただけたので、ようやくというところです。
前田
主に化学品の商社をしております。今現在、食料品的なものも扱ってきているので、将来的には化学品だけではない商社として、もう少し仕事の幅を拡げていってもいいのかなという考えで動いています。元々は室町のあたりで呉服などの仕事をしておりましたが、蛤御門の変の時にかなり焼けてしまい、何とか御蔵の中に焼け残っていたもので細々と再開したということです。その後、伝手を頼って神戸のドイツ人に呉服を持って行って売るということを始めまして、大変に評判が良かったそうです。そこからそのドイツ人が仕入れた化学品を逆に今度は買わせていただいて、それを染料として京都で使っていただくということを始めました。それがうまい具合に回り始めて、段々呉服から化学品にシフトしていったという経緯があります。
会長
今、化学品を扱っていらっしゃる元のルーツが呉服だったということで大変奥深く、それだけ歴史が長いのだなと感じました。今に繋げてこられてご先祖さんは喜んでいらっしゃるでしょう。
大谷
入会当初は緊張しましたが、優しく声をかけて下さる先輩の方や、親しくなった同期の方もおられて、多くの方と知り合えて良かったと思います。昨年の伊勢志摩での交流会が印象的で、2日間長く一緒にいたのでいろいろな方とお話して、お互いの仕事の話も聞けてとても楽しかったです。華やかで綺麗な方が多いので、自分も華やいだ気分になれます。
黒田
私は入会してまだ1年経つか経たないかくらいです。コロナもありましたのであまり活動がなかったですが、皆さん生き生きと活躍されていて勇気もエネルギーもいただくので、こちらに参加する日が楽しみで入会して良かったなと思っております。
前田
女性会に入会したのは、女性目線での京都情報をいただけたら嬉しいなというのが不純な動機としてありました。周りにいるのが男性ばかりなので、こういう華やいだ女性目線でのお話ができるというのがとても幸せなことだと思っております。その他にも経営者として始めたばかりなので、先輩経営者の方々にいろいろ教わりたいというのもありましたが、私より人生の先輩の方々が本当に生き生きとしてらっしゃることに感銘を受けました。どなたかに言われましたが、この中にいると歳を取ることが怖くないわよと、本当にその通りだと思います。安心してこれから生きていけるという気持ちになりました。
会長
この正直な素直な感想というのは皆さん同感ですね。かなり年代の差がある女性ばかりの、しかも経営者というのはたぶん他の女性団体にはないと思います。経営者であるというワードがまず一番にある、それがあってのつながりだと一本筋が通っているところが魅力であると思っています。
前田
今すぐではありませんが、10年後くらいにうまく次にバトンタッチできる形で準備を考えていきたいです。その前にもっと私が経営者としてしっかりと社員に認めていただき、社会にも認めていただくと、まずそれが第一歩かなと思っております。私は会社の広告塔ということもありますので、なるべく会合に参加して、もう少ししたらもっと商売に繋げていけるようにと動いている最中です。他には趣味の分野なのですが、京都に来てからゴルフを始めまして、なかなか上達しないのでこれを何とか克服したいと思っています。
大谷
個人的なことですが、婦人科の病気をしまして1月に手術をしました。その手術の前に委員会の集まりがありまして、皆さんに励ましていただいて、同じ病気だったり同じ手術をした方が何人か居られて、とても心強かったです。皆さん経営者でありながらご家庭も守ってこられて、病気も抱えながら戦ってこられたのだと思うと、とても尊敬できます。私の仕事は身体と心に寄り添うことなので、これからもそういう方に寄り添っていけるような仕事をしていきたいと改めて思いました。
黒田
次に繋げていくことがこれから一番大切なので、繋げていくためには限られた方しか知らないこの有職文化という世界を、皆さんに知っていただきたいです。職人でもこの人がいなくなったら最後、この染屋さんがなくなったら次どこに頼もうとか、目の前が断崖絶壁に毎日いるような感じです。この業界を知ってもらうためには販路を増やすことが大事です。神社だけではなく一般の方にも使っていただけるようなものにしていき、若い世代の人にも知っていただいて、そうすれば古典の良さも理解できます。学校などへ行って古典を理解できるようなきっかけを作り文化を繋げて広めていくというのがこれからの私の夢です。
会長
後継というのは本当に待ったなしですしね。どんどん時間も経っていくし、これという決め手は何でしょうね。
黒田
携わっているものがどれだけそのものの価値を皆さまに伝えることができるかが大事だと思います。女性会の皆さまにもお知恵を拝借しながら考えていきたいです。有職の世界を勉強していくと、日本人の優しい自然に対する思いとか生きる姿勢が垣間見えてくるので、大きくいうと宇宙につながっていきます。日本人の昔からの生き方とか思いを再度見つめなおすきっかけ作りをこれからはしていきたいです。
会長
私たちのDNAの中に、呼び覚まされる琴線に触れるものがきっとあるのでしょうね。携わっていらっしゃる方にとっては本当に待ったなしで、途絶えるというところまで切羽詰まっていると、せめて女性会の皆さんに周知していただいて、その方がまた違うところでお話いただいて、そういうネットワークの使い方も女性会ならではのことだと思います。異業種であっても皆さん繋いでいくことに変わりはないので、他人事ではないですね。また逆に自分はこういうことで困っているけど、どう思う?とか、いろいろな方向から、異業種で知らないと思いもよらないところにヒントがあったりするので、是非そういうところで女性会を活用していただければと思います。