2022年11月
石井
父が商工会議所の会員であり、父から代を譲られたときいつかは会議所に入らせていただこうと考えておりました。女性の中で経営者のお話が聞ける女性会に魅力を感じ、入会させていただくこととなりました。
会長
人それぞれ何かご縁があってここに繋がったというのが正直なところだと思います。ご縁なくしてお商売もプライベートもライフスタイルそのものが回っていかないと思いますので、本日のこの座談会も皆様とのご縁があったということで大変嬉しく思っております。
岡山
商工会議所の会員にはなっておりましたが、仕事をしていく中で周りは男性ばかりでしたので、女性会という響きに心を動かされました。女性であるうえに経営者の方が沢山おられる中で勉強させていただこうと思い入会させていただきました。
尾川
社会保険労務士として開業して5年目になります。小さい頃から居を転々としておりまして、大学・就職は東京でした。結婚をきっかけに大阪に来ることとなり、京都で事務所を開設することになりました。京都の中で繋がりを持ち、女性で活躍されている方から勉強させていただきたいと思い入会いたしました。直接のきっかけは本所の交流会でお声がけいただいた事と、仕事でご一緒させていただいた大阪の女性会の会員の方から大変勉強になると勧められたことです。
山本
女性会の会員の方に知り合いが多く、女性会のことは存じておりました。是非入会してくださいとお声がけをいただいたことがきっかけです。女性ばかりの会に入会するのは初めてなので勉強になると思い入会させていただきました。
会長
入会されてその後どのように感じていらっしゃるのかお聞かせいただくことを楽しみに、お話を進めてまいりたいと思います。
尾川
社会保険労務士として、基本的には顧問のお客様の労務管理のサポートをしております。あとは人事に関することで、特に人手不足のお客様の採用関係、社員教育など、自身が研修をすることも含めて幅広く相談をうけております。
会長
人手不足は前からあったのですか?
尾川
業界によっては、いわゆる3Kの厳しいところは昔からです。
山本
そうですね。まさにうちもドライバー不足です。
会長
人口減少という現実もあって、今後ますます人手不足など見通しが悪くなりそうですね。
尾川
おっしゃる通り、今後労働人口がどんどん減少していく中で、いかに生産性を上げて、時間をかけずに成果を生み出していく企業にしていくか。人でしかできないことや、さらに付加価値を上げて企業が事業運営していけるようになるなど、会社の大小に関係なく努力していくしかないのではと思います。
会長
代わるものがない、人でしかできないことはずっと続いていくでしょうね。
尾川
そこを高めていけば、皆さんの仕事もやりがいのあるものになるのではないでしょうか。
会長
人手不足はより深刻なものとなっていると思います。人手不足というキーワードに対して皆さんいかがですか?
山本
ドライバー不足により、仕事があってトラックもあるのに売り上げを上げるのが難しくなっています。倉庫業を始めて荷物を預かったりして、少しずつできるところから変化していこうとしています。
石井
販売員の募集はしておりますが思うような方が来ないです。会社を若返らせて次に繋げる為にも若い方を育てていきたいのですがなかなか難しいです。自分の会社だけではなく職先もご高齢になりおやめになる方が多いです。販売する側だけではなく、職先の継承問題もあります。職人になりたい若い方もいらっしゃるのですが、少し学ばれると作家やアーティストになられる方が多いのも問題のひとつだと思います。
会長
和装の業界、西陣もそうですが京見という文化があるぐらいひとつひとつのパートが貴重な職人技によって支えられています。今後のことを見据えてどのようにお感じになっていますか?
石井
仕事に興味を持ってもらって、職人は給料がとても低い職業ですので、その辺りを改善していかないといけないと思います。そのためには京都の職人文化プラス小売の間の改革が必要だと思います。大きな変化が必要だと思っています。
会長
構造変化が必要で、今までのように分業でこなしていくのは厳しくなるかもしれませんね。どこかが抜ければ製品が完成しない状況になりますね。岡山さんも同じような業種ですが、いかがですか?
岡山
京友禅の世界は50年前を100%とすると今は2%になっている状況です。和装の低迷に加えて職人の高齢化や流出、ご家族が跡を継がれないことなどが原因です。そんな中で、コアな職業に興味をもつ若い子もいて会社のホームページで職人の募集をすると北海道から沖縄まで全国から若い方が来られます。その方たちが皆さんおっしゃるのは、このような仕事に憧れていた、こんな事がしたかったという事です。業界的には職人の減少は深刻な問題ではあるのですが、自社ではこのような状況を今後も維持できるよう仕事が途切れないよう頑張っていきたいと思っております。川上から川下までの構造の問題はあると思いますが、より消費者に近い商売を考えていきたいと思います。
会長
住み込みで働かれているのですか?
岡山
住み込みではありません。京都市内の毎日通える範囲にお住いの方が多いですね。
山本
食品を運んでいる会社で冷凍・冷蔵・チルド・常温と4温度帯に対応できるセンター業務を構え、それを配送しています。それと倉庫業もしています。ひとつのトラックの中で4温度帯の商品の配送対応が出来るのが特徴です。初めてその配送システムを始めまして、コスト削減にも繋がっております。協力業者を使って九州から東北手前までは配送できるネットワークを持っています。梱包事業として、お歳暮お中元、母の日父の日などの行事のときにセットアップしてお客様の注文があれば箱詰め、包装、配送までします。仕事の話はたくさん来るのですがドライバーが高齢化していることもあり、ドライバー不足が問題です。
会長
マンパワーが必要な会社だと思いますが、今後はどのように考えておられますか?
山本
新しく倉庫業を始めたり、ドライバーが足りないので配送の仕事を受けてもらう協力会社を見つけたり、使っていない施設を賃貸で貸して無駄のないようにするなど工夫して対応しています。
石井
弊社は井澤屋という創業155年になる会社で、和装にまつわる小物を販売しております。社長と言っても父のドライバーから商品の製作企画なんでも仕事としてやっております。若い方に知ってもらうために洋装のものを取り入れ、FEILER社や近沢レース店とコラボした商品を出すなど新しい試みにも挑戦しております。
山本
皆さんから優しくお声がけをいただいて、楽しく過ごしております。旅行も楽しく入会して良かったと思います。
岡山
サロンで講演会などに参加させて頂くと、知っているようで知らなかったことも多くとても楽しく思っております。こんな楽しい会であることがもっと若い方にも伝わればと思いますし、 そうなるとまた違った活動もできるような気がします。
尾川
入会して早々コロナになって暫くは行事がなかったですが、会の行事に参加すると隣の席の方たちと仲良くなれて、参加回数の割に仲の良い人が増えているので、楽しくて嬉しいです。職業柄、皆さんの仕事の話が聞けるのも勉強になりますし興味もあります。平日の昼間は参加することが難しかったりしますので、時間帯がバラけると参加しやすくなるかもしれません。開催日時の早い告知や直前でもキャンセルができると参加しやすくなるように思います。いろいろな方が参加できる時間帯があればより参加人数が増えると思います。
会長
今年、全国大会が福島で二年越しに開催されました。復興にかけてきた思いを伝えたいと行われましたが、全国から多数の会員が参加されましたし、非常に温かい会でやはり参加してわかることがたくさんあると思います。
石井
コロナ禍の時に入会したので、活動に参加できるようになったのも最近です。コロナで食事などのとき自由に話せないのは残念です。旅行なども参加できればと思います。いろいろな方と交流できれば仕事の話など相談できたりするので早く普通の状態で参加できるようになればと思います。
石井
京都全体が観光に頼っている部分が多いと思うので、もっとうまく京都を活かせていけるようになれば良いなと思います。自分のところだけではなく京都全体を盛り上げていければ良いなと思っています。自分の会社の問題だけではないと思うのですが、会社の事業承継の問題、家族だけでやっていけるのかなど今後考えていかなければならないです。
会長
事業承継は本所も力を入れているプロジェクトですが、ひっきりなしに案件が舞い込んでくる状態でM&Aとかいろいろな相談があるようです。やはり後継者がいなければ今が良くても将来は問題になってくるでしょうし、マッチングという言葉はよく耳にしますが実際難しいですね。
岡山
うちは後継者を義弟に決めました。彼は30代後半のフランス人で10年ぐらい一緒に仕事をしています。問題は色々ありますが後継者を決めたこと、それを周知したこと、本人に後継者としての自覚をもってもらったということが大事です。彼が社長になって、若い方を日本人に限らず受け入れ育てて、何か新しいものづくりをしていってもらう。それが未来の想像です。現実問題として、普段着物を着ることが少ない世界で着物をどうするのか、これは一社で解決できることではないですが大きな問題であると思います。これからは着物を作るノウハウを使って他のものを作っていくこともあると考えております。本来着物はアナログな世界ですが、後継者の彼はデジタルが得意なのでデジタルを取り入れたシステムも導入しており、彼に教えてもらいながらデジタルとアナログの歯車がうまく噛み合うように進めてゆく事が必要だと思っています。
会長
伝統的な会社がグローバルというこの世界観が未来的でありますね。
山本
息子が跡取りです。わたしは息子に引き継ぎをするにあたって会社の状態を良くしておくことが役目だと思っています。良い会社にすれば息子も喜んで継いでくれると思って、今の時代に合ったものを取り入れながら一生懸命頑張っております。
尾川
皆さんのお話を聞いて、京都というブランドはまだまだ使えると改めて発見しました。京都だから人が集まったり、京都ブランドだからと新しい商品を開発できたり可能性を秘めていると思いますので、そういうところをお手伝いできればと思います。京都から世界に打って出る企業を増やしていきたいというのが大きなテーマでもあります。今40代なのですが、諸先輩方が50代は良いよとおっしゃるので華の50代を迎えられるようにしたいです。社労士だけではなく、コンサルティングもやりたいので、地道に学んでできることを増やしていきたいです。仕事は成長できる機会であり、仕事があるから頑張れるし仕事を通して人の縁が繋がるなどとても大事なものだと思います。一人でも多くの人が仕事が面白いとかやりがいを感じれば、労働人口が減る問題と、日本の良い未来に繋がると思います。
会長
異業種が交流しているのが他にはない女性会の魅力だと思います。人と人の出会いが次に繋がる、京都は特に狭くてその機会が多いと思うので、チャンスをキャッチしてつないでいくことが大事ですね。皆さんの今後の自分の人生について、これから先どういうものでありたいかお聞かせ下さい。
山本
仕事しなくて良くなれば、健康を保ちながら温泉などゆっくり行きたいです。孫が3人いるので、家族みんなで旅行へ行くのも楽しみです。
石井
子供を産んだのが遅かったので娘がまだ高校生です。趣味が料理です。アメリカで料理学校に行ってレストランで働いていたくらい料理が好きで、ストレス発散にもなっています。将来的に会社を任せることができれば、自宅で友人たちにお料理を振る舞えればと思っています。家で楽しむ生活をしたいです。
尾川
趣味のひとつが書道です。将来は書家として活動したいです。もうひとつは宝塚が大好きで老後はゆっくりテレビで鑑賞したいです。生まれ変わったら、宝塚の男役か指揮者になりたいです。他にもゴルフが趣味です。
岡山
主人はサラリーマンなのでお互い接点のない仕事をしていますが、それなりにふたりでやってきました。結婚してから40歳くらいまでは家事をしながら仕事をして一日があっという間でしたが、今では家事をほとんど娘がやってくれるので助かっています。
最近キャンプに行って楽しかったので、女子キャンパーになっていろいろな所に行ってみたいです。
会長
このように膝を交えて豊かなお話をできる機会をいただいて、ありがとうございました。